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『日本ってベテランに厳しい国だと思いませんか?』 [Marinos *]

今出ている『Number』の
中澤の新連載の出だしです。

連載の主旨は、4監督をとおして日本代表の最終ラインに立ちつづける中澤の代表“黙示録”なのですが、
(この“黙示録”というタイトルが、多少すきゃんだらすな匂いを出してますが、)
文の最初に、30歳となったプレーヤーの気持ちがあります。
移籍金がなくなる年齢にきて、それは“唯一得た権利”であると。
全体を通しても、中澤の中で、今一番大きいのは、“使命感”なんだろうと思いました。
「世界を驚かせたい。」という岡田監督に、リーダーシップを求められた使命感と、
(代表に関する使命感は、この連載で今後も語られると思いますが、)
ベテランを軽視するリーグ(チーム)へ、一石を投じるという使命感。

期せずして、昨日、うちは30歳に満たないオオシ放出を発表。
『育成型チームへ移行』とまで報道される。
当の中澤も、今季の契約更改では、複数年契約ではなかった。
そこには、やはり、ある種の“ひっかかり”があったことは、想像できる。

私は、DFとして、初の海外移籍があるとしたら、
マツか佑二だと思っていました。
それだけ、この2人は、私にとって特別な選手です。
サッカーを観始めると、だいたい先に攻撃に目が行く。
生で試合を観はじめると、
たいてい前半は、自チームの攻撃はむこう岸でやっているので、
「遠いわぁ」と、だいたい思いますが、
マリノスを生で観はじめて、佑二が移籍してきて、
最終ラインに3番と22番が並んでいる頃、
私は、守備を観ることのおもしろさに気がつかされたし、
守備で勝つことの重要性も思い知った。
(それで前半も気合がはいるよーになったわけです。)
そして、この2人に関しては、ただ“守ること”で止まっていないのだ。
守ることを攻撃の狼煙にまでする局面のプレーの正確さや、
圧倒的な力量、判断を見せつけることによる、相手チームへのダメージは、
90分の間で、ボディ・ブロウ的に効いてくる。
その痛快感は、90分終わった時に、みごとなゴールよりもずっしりと観る側の胸に残っていたりもする。
他のチームで、それに気がつけただろうか?と、この頃は思います。
もちろん、気がつきはしただろうけど、
“横浜の鉄壁”は、そうとう早い時期に、その楽しみを教えてくれたと思っています。
その鉄壁を継承するべく、勇蔵や裕介はがんばっているし、クナンも獲得し、
馬場ちゃんやマツは、ベテランといわれる年齢でのコンバートにまで挑戦している。

チームにとって、新陳代謝は必須だ。
ましてや、スポーツという身体を使う分野では、
キャリアが長いだけでは、というのは、当然ある。
過去の活躍だけで、大事に大事にしつづけてくるれようなクラブはそうそうないし、
そんな“情先行”のクラブは、続かない・・・・たぶん。
しかし、昨日も書いたように
若手は若手だけでは育たないのだ。
年齢とともに、サッカーのための身体は衰える。それは、事実だ。
だが、サッカーは身体だけでプレーする競技ではない。
そこを、『30歳・移籍金なし』や『戦力外通告』は、まったく軽く観ているという感じはする。

私の働いてきた業界も、似たようなところはある。
私自身も、ある意味、挑戦中なのだ。
“感覚”の衰えを危惧される。
実際、「ここは、若いコに任せたほうがいい。」と思うところは手をひくことにしている。
ターゲットによっては、今の感覚を生かせる仕事もあるし、
頭の中にしかないカタチを、実現する力と技能は、衰えることはないと思っている。
自分のイメージにより忠実な物を作るために、全身全霊で積み重ねてきたもの。
くらいついて、くらいついて、私の技能を自分の物にしようという姿勢のコには、
おせっかいなぐらい注ぎ込んできた。
しかし、業界の“自ら物をカタチにする意識”というのが、どんどん希薄になり、
“感覚先行”の色は、日増しに強くなってきて、
「もったいないなぁ。」と思うのは、
感覚で勝負できる年代のコの中には、
“カタチにするのは、誰かがやってくれること”という意識が強くなっている。
「だって、誰も教えてくれなかったし、時間ないし。」と、理由を述べる。
くらいついて“学ぼう”というコは、残念ながら、稀である。
私自身、仕事だし、若い感覚のコの頭の中のお手伝いをするのは、キライではない。
が、あまりにも本人が“さぼっている”と、とんでもなくさびしくなる。
あまたの中から選びとることや、カタチにする人へイメージをしっかり伝える事を、さぼる。
“ベテランを使う”“ベテランになんでもやってもらっちゃう”意識がみえてしまうと、
「あ、もぉ、いいや。」と、匙を投げたくなる時もある。

だから、うちの若い選手たちには、
くらいついて、さぼらないで、チーム内のベテランのチカラを引き継いでもらいたいと思うのだ。
ベテランの日々は、自分の技能や体力を(伸ばすというより)キープする日々で、
それが思い通りにできた時は、個人の選手として達成感もあると思うが、
チーム内でのベテランの喜びというのは、
若手がどんどん成長していく姿を観つづけられるということも、あるのだと私は思っている。
ほしいのは「すごいですね」とか「尊敬してます」とかの言葉ではなく、
自分の近くにいる事で、若手の成長を促せたという実感。

若手の成長を促せるのは、ベテランだが、
ベテランを活かせるのは、実は若手の選手なのだと思うのだ。


同連載の中で、
中澤はマリノスへの愛情も、おなじく語っている。

どんな移籍も、最終的に決めるのは選手本人で、
佑二の場合も、先1ヶ月の間に決定されることになるだろう。
私たちは、「ほんと、残ってくれ。」と祈ることしかできない。

年齢だけは、佑二よりも上という立場だけで、
あえて言わせてもらうと、
“使命感”にさいなまれることが、自分自身の眼を曇らせるという局面もあるということ。
私は、今オファーをくれているチームよりは、
マリノスの若手を見つづけられることが、佑二本人にとっていいことなのではないかと思うし、
これからのベテランとしての“背負う喜び”を感じられるいい環境なのではないかと思いますが。


『1億2000、複数年』クラブは数字と条件で、佑二への期待をすでに提示した。
しかし、この文章を読む限り、
報酬も保証もない“代表”にこれだけ使命感を持てる選手である。
クラブや元総括本部長は、
“これからの佑二が担うチームでの役割”を、
明確に、誠実さをもって伝える事は、とても重要だと、私は思います。
(それは、佑二に限ったことではなくて、今30を超えて契約更改する登録選手全員にいえることだけど。)

明日は、ホームラストの、クラシコ。
佑二にとっては、“誕生のチーム”と“成長のチーム”の対決。
きっと、私たちが待ち望んでいた最高峰の守備をみせてくれると思う。
(ハユも那須君もな。)

*** 【追記 12/2】
ヨコハマ見聞録(hama_kenbunrokuさん) 『Numberの記事を読んで 中澤佑二選手に対して思うこと』
私が、今、クラブにしてもらいたいこと。
それは、水沼君がやってくれていたこと。


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