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老(女子)兵は去る ~ここからの10年 [Marinos *]



精一杯やってもなお、晴れない表情の選手たちの背中を見送って、
いつもの道を帰る。

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「ありがとぉ、横国。またいつか・・・・。」

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そう言ってみたら、今日3度めの涙になった。
「いつか。」いつかは、いつか・・・・わからない。
慣れ親しんだ小机土手の草の匂いのなかで、涙は止まらなかった。

多くのサポーターが泣いたこの試合。
私の涙は、悔しさの涙ではない。
これぐらいの悔しさは何度でもあった。
10年間通いつづけたこのスタジアムへの愛慕と感謝と願い。
私は、このスタジアムが大好きだった。どこよりも。

今日のトリコロールの必死は、勝利を呼ぶまでにはいたらなかった。
劇的勝利でこの10年をしめくくりたかったのは、私の個人的な想いだが、
“チームはいつも道の途中”だ。
最後の試合で、その途中を自分の眼で確認した。
「これで、いい。」

マリノスは続く。
日産スタジアム(横国)が、ニッパツ(三ツ沢)が、その成長を包み込んであげてほしいと願って、
しばらく、泣いた。

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引越し途中でモノが散乱したままの部屋に帰って、選手コメントを読む。
まだまだ若い選手たちが、相手の老獪さまでもしっかりと受け止めてる。
「これがトリコロールだよ。」と安堵する。
試合は、相手あってのもの。
相手に敬意をもてなければ、いい試合などできない。
対戦前に相手を見縊ったり、下にみたりは、自信のなさだし、
敗戦をジャッジや相手のせいにするのは、愛情とは違うと私は思う。
観るべきはほかにある。
準決直前、その真意はわからないが「ほんとは鹿島とやりたかった」といった指揮官。
スタンスはそれぞれのものだ。
だから自由でいい。
けれども、去る立場としてひとつ言わせてもらえるなら、
トリコロールの関るものすべてに、誇り高さは失ってほしくない。

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「きっと、これからはもっとお気楽に楽しめますよぉ。」
準決翌日の夜、ずーっとお会いしたかったマリサポの方とお会いして、
そう言ってみた。
言ってみて、『ほんとに?』ともうひとりの自分が言っていた。

地方にもサポーターはいる。生でコンスタントに観戦できなくても、サポは続けられる。
それでも、ここ10年の自身の偏愛を考えると、
この先のことは、ほんとうにイメージができない。

たとえば、この準決を“切り替える”。
週末は、広島戦だ。
あの開幕戦。
この試合の飯倉と同じように、自分の若さを思い知ったアーリアがどこまでできるか。

次の鹿島戦。
私が『一番負けたくないチーム』と、今回はどう戦うか。

期待は尽きない。
が、私はそこにはいられない。
私は、この先、どんなスタンスでマリノスを愛しつづけられるのだろう。

この10年を思うと、
ほんとうにサポとしてここから10年がまた楽しいのだと思う。
チームの近くにいて、生でチームの成長に一喜一憂できる環境にある人を、
正直、とてもうらやましく思う。
観つづけられる人には、しっかり、観つづけてほしいと思う。

10年かけて“個サポ”で、サポ活動もほとんどなかったので、
(今になって、ものすごい後悔です。)
引退だのというのはおこがましいもいいところです。
が、観れるだけの一試合一試合、観れるだけの1プレー1プレー、
トリコロールのユニをまとったひとりひとりの選手は、
真摯にみつめてきたつもりでいます。

『いつか』ほんとうに帰ってきたいと思うし、
帰れる場所がここにあることを、しあわせだと思います。

昨日お会いしたマリサポさんと、ほんとうにいろんな話をしました。
「山が見える陸上競技場ってのが・・・・ねぇ、ある意味、鬼門。」「なんででしょーかぁ?」とか、
「だって那須くんだよっ!」「でも、那須君ですよっ!」とか。
ほんとうに楽しい時間でした。
サポをやるのは、楽しいことばかりではない。
うっとうしさもめんどくささもあるし、
第一、一試合一試合にこんなに一喜一憂。
残留争いともなれば、魂を抜かれたような毎日になる。
でも、やめられない。
観つづければこそ、そこに何にも代えがたい喜びが、たしかにある。
彼女は、別れ際に言った。
「それでももぉ、この道しかないのよ。続けていく以外に。」

トリコロールのスタンドは、そんな覚悟や想いの集合体である。
それを、選手・スタッフ・フロントには、忘れてほしくないと思うのでした。

決戦のコンコースに現れたトリコロールの川のように、
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きらきらがいっぱい集まって、マリノスは続く。
数知れぬトリコロールの虜。

スタンスは違えど、私もこのきらきらのひとつでありつづけたいと思うし、
それが喜びであるクラブでずーっとあってほしいと思います。

ひとまずは、ここでくぎりです。
『素晴らしい日々を、ありがとう、マリノス。』
そして、『また、いつか。』

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老(女子)兵は、ひとまず去ることにします。




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動の執念と静の執念 ~ナビスコ準決勝 2nd H/川崎戦 [Marinos *]

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「きっと、これからはもっとお気楽に楽しめますよぉ。」
準決翌日の夜、ずーっとお会いしたかったマリサポの方とお会いして、
そう言ってみた。
言ってみて、『ほんとに?』ともうひとりの自分が言っていた。

私が大げさなだけで、
トリコロールのスタジアムを離れた人は、
これまでも何百人、何千人といたのだのだと思う。
その人たちの“最後の試合”は、どんな試合だったのだろうか?

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それぞれの想いを準備に変えて、“その時間”はやってきた。
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今が、その時。
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オーロラヴィジョンに映し出される選手の表情は、みんな決意に満ちていた。
「やれるぞ。」そう思わせる。
0-2で終わった1st.レグ。失点せずに最低でも2点獲るための90分(+α)。
それがかなわなければ、このカップ戦の頂点への道は途絶える。
リーグ戦も予選も、誰にとっても“二度とない試合”なことに変りはない。
しかし、これは、期せずして、
「若い、若い」と言われた今季のチームが続けてきた9ヶ月を確かめる大一番となった。
この劣勢をひっくり返すチカラは、自分たちにあるのか?

いつのまにか、でも着々と、彼ららしい道で“本物の強豪”になった隣街のチーム。
私はここ数年、
“いつタイトルを獲ってもおかしくないチーム”“タイトルがないことが不思議なチーム”と、思ってきた。
1stレグで思いしらされたその幹の強さは、2ndでも揺るがず、
それでもなお、なりふりかまわぬ老獪さを出してくる様は、
彼らの長い長い間のタイトルへの静かな執念。
これをひっくり返す。
我がチームながら、現時点においてチームの成熟度ではかなわない。
それでも、“うまいこと”を考えずに、ただただぶつかっていく、真正面から。

(願ってやまなかった)前日のセットプレー練習の甲斐あってか、
“伝家の宝刀”は、相手ゴールを何度かおびやかすことができた。
そのたびにボリュームを増すスタンドの手拍子は、このチームの来た道。
「こーきち君は、聴いてるかな?私たちは“本意”だよ。」
それでも、ゴールの枠はとらえ切れず、単発で終わる。
『セットプレーは横浜の武器』と、誰もが言った。
ただそれは、優秀なキッカーと高く強い選手をそろえていたからだけではなかった。
1本のCK、1本のFK。そこで得点するというチームの意志。
「直接決まることのほうが、稀なんだよ・・・・・そこに誰かがいて、狙ってないと。」
手入れされなかった宝刀の今。
それでも、1stよりは少しだけ輝きを取り戻していた。

動の執念のトリコロールと、静の執念のフロンターレの攻防。
息を呑む。

その象徴とも思える純心無垢な15番の駆け引きさえない“動”から、均衡はやぶれた。
蹴るのは我らが10番。
「きたっ!!」
一気に変るスタジアムの空気。
突然、重い霧が消えてなくなり、爆発するチカラ。
これがマリノスのスタンド真骨頂。
今日、2度目の涙だった。
滲むトリコロールのスタンド。
「ぜったい、いけるっ!獲れる!」
今まで経験してきた数々の(傍からみると)奇跡の突風が新横浜上空に龍のごとく立ち登った。
攻めた。目の前の1点のために。
その方法はどこまでも愚直だったけど、攻めつづけた。
スタンドも、声と手拍子で攻めつづけた。

終了まで10分を残して、ゲームを締めくくろうとするフロンターレ。
1点を狙うような時間ではないという共通判断。
使われる時間。
何度も観てきたシーン。よみがえってくるイメージ。
それを繰り広げられた時からトリコロールは強さを増す。
したたかに、したたかに、でも強さを持って奪ってきた数々の試合。
しかし、そこにあったのはしたたかさではなく剥き出しの純心。
その後起きた奇跡は、“真っ直ぐなゆえの愚行”。
前半、ことごとく危機を救ったゴールマウスの神童は、その無垢さゆえ、
老獪を許せなかった。

それでも、「まだいける。」と思わせたのは、
宏太のあきらめなさ。
私たちから一番遠い、孤独な、まったく経験のないポジションから伝わってくる、熱。
隙があれば、駆け上がってはゴールを乞うボールを送りつづける。
駆け上がり、戻りをくり返す宏太の意志。
その意志をゴールに叩き込もうとするメンバー。

その必死も、予定されていたようなあっけなさでとどめをさされ、ホイッスルは鳴った。

ピッチに倒れこむトリコロール。
この日オランダにいたかつてのトリコの名将は言った。
『勝ち負けだけではない、観る人の心を揺さぶる何か。』
「岡ちゃん、なんか、やっとここまで来たみたいだ。」と、つぶやいてみた。



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トリコロールのスタジアムを離れた人は、
これまでも何百人、何千人といたのだのだと思う。
その人たちの“最後の試合”は、どんな試合だったのだろうか?

これが、私の“最後の試合”になった。



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日曜日のことは、 [Marinos *]

いろんな気持ちがいりみだれてしまい、
正直、もぉ、どーまとめていいのか、まったくわからんのです。
けして、なげてるわけではないです。

↓記事のアクセスが増えてくのをみて、
ちょっと言い訳エントリです…。

マリノスタウンは元気に動き出したよーで、それがなにより。
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